酩酊 五月雨 きみ 魚

「自称異常」な女と「自称正常」な女。

『この感情は時効を向かえました。』

@ひとつだけ、きのえだ の さき に
りんご が ひとつ なっている。
それは いまにも おちそうで
おちて ぐちゃぐちゃに なりそうで。


わたしは、彼女に言った。
『 今のわたしには、あの林檎が
潰れないように何かが出来る自信、ない』


彼女は、わたしに言った。
「 別に役に立とう、なんて
思わんでいいんやで。ただ、
育ってくれてありがとう。、って、
それだけでいいんやで。 」



わたしは、彼女の返答で知る。
わたしの中には、
『大切なひとたちの役に立ちたい』
、なんて、糞みてえな恥ずかしい感情が
存在していることを。





@、何年か前、覚えているかな
ミナミの商店街でノリでお揃いで
色違いの手袋を買ったこと。

その場ではめて、
じゃれあう二人を一歩後ろで視ていた。


可愛くて、楽しくて、賢くて
面白くて、優しくて

きっと彼女と林檎の神さまは
きっと彼女と林檎を選ぶんだろうな、

なんてことを
ぼんやりと考えていた、冬。
あの日わたしは、
世界でいちばん、緑色の手袋が
似合わないのはわたしだと思った。



@この前彼女とラインをした際
何でかな、全部全部、
ぶちまけちゃった。
何でかな、判んない。
認めたら自分が惨めになるの、
判ってるくせに。
わたし、は。
きっと 彼女に、林檎に、
そしてわたし以外の総てに
きっと、嫉妬している、劣等感を
感じている。



わたしが彼女なら
きみはわたしを選んだかなとか
わたしが林檎なら
きみはわたしを必要としたかなとか
わたしじゃなかったら
わたしじゃなかったら。



そんなことを彼女にぶちまけた。
八つ当たり、では無い。
きっと気付きたくなかったんだ。
きっと、
認めたくなかったんだ。




可愛いものが、苦しくても
可愛さがあるでしょ、
賢いものが、苦しくても
賢さがあるでしょ、


わたしには、
わたしには何も無かった、
苦しさは、只の苦しさで、
それ以外に「それ」を
取り繕えるものを、何一つ持ってなかった。








@とりあえず、何だ。
わたしは、きっと
本当の意味で「死に近い場所」に
いる彼女と林檎と、
昔のように話せる自信が、正直無かった。
だってわたしは、
只のポジティブ勘違い野郎で
きっと彼女と林檎の話に
ついていける自信が無かった。





@それでも すき だったし
心配も、応援もしてた。
只、わたしは
「死にたい」と彼女たちが言うなら
何を言ったら彼女たちの助けになれるか
全く判らない、それは今でも手探りで、
だからわたしは、約束を取り付けたいんだ。
明確な日時と場所、
そうだな、場所はあの、
新大阪のタクシー乗り場前






@ああ、どうして
過去はあんなにも直向きで
只。どうして只、
あんなにも希望に満ちてたんだろう。


確かに苦しくて悲しくて
きっと誰かは「無駄な時間」だと
言うんだろう。
それでも、それさえ取り入れた脳内
その記憶が、今でも蘇る。


鮮明な、緑。



そして側にいてくれた
赤色は、青色は、
どうしてか、こんなにも
今でも変わらずに、わたしの中の
大切なんです。








@禁断の果実、
かじったら楽園から追放される
そんな神話がぼんやり
浮かんだ、きっとその果実は、「」。


彼女と林檎のせかいの神さまへ
ふたりが
居なくなったらわたし、困るから
もう少しだけ
彼女と林檎を生かしてください。





彼女と林檎は
わたしの大切な友達です。





@成美